私と出会うまでに築かれた彼女への躾
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男二人は「ポッキーゲーム!」と言い出し、お店の女の子とゲームを始めた。お店の女の子は明らかに男達に唇を許し、男達もそれを分かって女の子にキスをしている。その手は女の子の胸を揉み、しまいには服の中に手を突っ込んでいた。『何やってんの、この人たち・・』彼女はこの二人を嫌悪しはじめていた。
「ねぇ、○○さんもやろうよ。」
「え??」お店の女の子が彼女の口にポッキーを咥えさせた。
「じゃあ、ワタシからだな。」Rがそのポッキーの反対側を咥えようと顔を近づけた時、彼女は思わず顔を背け、ポッキーは折れてしまった。
「あー!折れちゃった!何でーっ!何で逃げるのよぉ!あはは(笑)罰ゲームね、罰ゲーム。一枚、脱いでぇ、○○さん」お店の女の子はちょっと怒った感じで彼女に言った。
「ぬーげ!ぬーげ!」
「脱いじゃってぇー!ねぇ、○○さん!脱いじゃいなよぉー!(笑)」店の女の子もRもUも調子に乗っている。
「え?だって、アタシ、こういうのイヤです」
「イヤって言ったってさ、こういう場の空気を読んでよ、○○さん。一枚だったら、平気でしょ?罰ゲームだからさ、脱いでよ。お願いだからさ。」Uが手を合わせて彼女を拝むように言った。そして彼女に「分かってるでしょ、Rさんがどんな人か」と耳打ちした。『本気なの?もう・・・』彼女は一番上に羽織っていたカーディガンを脱いだ。
「じゃあもう一回ねー!」女の子が再び彼女の口にポッキーを入れた。
「ちょ、ちょっと・・え・・んん」
「折るなよー、折ったら罰ゲームだからね、また脱いでもらうよー」Rがゆっくりと顔を彼女に近づける。
「・・・・」彼女の咥えるポッキーをRが咥えた。
「きゃー!近いー!」
「折らないようにねー!」お店の女の子達が盛り上げようとキャーキャー言い始めた。Rの顔は段々と彼女に近づく。『・・最悪・・』彼女は少し腹立たしかったが、その場の空気を覆せるような感じではなかった。
「きゃー!キスしちゃうんじゃなーい!」Rの顔がいよいよ彼女に近づいたその時、彼女の体は後ろからがっちりと押さえられた。
「きゃ!」彼女は思わず声を出し、ポッキーを吐き出してしまった。
「動くなって」後ろから彼女を押さえたのはUだった。
「ちょっと、何するん・・やめてください!」お店の女の子も「きゃー、キスしちゃえー!」
「キスさせちゃえー」と彼女の顔や腕を押さえつけた。
「何するんですか!いやー!やめて!!」
「いただきますよ」Rが彼女の顔を左右から押さえつけ、そして彼女の唇にRはキスをした。Uとお店の女の子数人に押さえつけられた彼女は、Rの唇を受け止めるしかなかった。
「んんんん!」キスをされたあと、彼女は激しく抵抗し、Rを突き飛ばした。ガチャン!とRはテーブルの上に尻餅をつき、グラスは飛び散り、Rは床の上に倒れた。
「いってーな・・・」
「おい、何するんだ、○○さん!」Uが彼女に向かって怒鳴った。
「・・あ・・でも・・」
「大丈夫ですか、Rさん」お店の女の子はRを立たせた。
「あー、スーツ、汚れちゃったねー」
「何も、突き飛ばさなくてもいいんじゃないのー?」皆、彼女の敵だった。『・・何?この空気?悪いのアタシなの?』彼女は店の中で孤立した。
「謝りなよ、○○さん」Uが彼女の頭を抑えていった。
「でも、・・アタシ・・嫌です・」
「イヤ?イヤって言ってもさ、キスしたじゃん、○○さん。」
「してないです!してないですよ!」
「これ、してるよね?」Uがケータイを出して見せてきたのは先ほどRが彼女の顔に近づいた写真だった。
「え?してないです!何ですか、この写真!」
「っていうか、したよね(笑)それにこの写真見ると、・・・やっぱり、してるよね(笑)。・・・でもさ、あれだけ太腿とかお尻とか触らせておいて、今更何もないってことはないんじゃないの?○○さん。子供じゃなんだからさ。アナタだって旦那がいる大人でしょ?」Uの口調が変わった。
「何言ってるんですか、Uさん。おかしいですよ。」
「いいからさ、はやくRさんに謝ってよ。オレの立場も分かるでしょ。」
「何ですか、立場って?」
「ねぇ、あなた、謝った方がいいわよ。突き飛ばしちゃ、やっぱりだめよ。」お店の女の子はRの味方だった。彼女は仕方なく「・・すみませんでした・・」とRに謝った。
「まぁ、いいや。終わったことだし。・・ほら、テーブル片付けてさ、飲み直そうよ。」Rは何もなかったかのようにグラスに注がれた酒を飲み直した。『アタシ、悪くない・・』彼女はそう思った。その後は何事もなかった。日付が変わり午前1時になると、店は閉店となり、飲み会もお開きになった。
「今日はスミマセンでした。」彼女は帰り際Rに再度謝った。
「いいよ、いいよ。こっちも悪かったよ。」Rはニコニコしていた。Uは彼女に「じゃあ、途中までワタシの代行で送ってくから。」と言った。
「いえ、いいです。タクシーで帰りますから。」
「いや、いいよ、さっきのお詫びもあるしさ、まぁ、家の近くまでワタシの代行で帰ろうよ」とUに押し切られ彼女はUの車に乗った。Rとはその場で別れた。『何かもう、最悪だなぁ・・・』彼女はさっきまでRにおべっかを使っていたUを嫌いになりかけていた。Uと彼女を乗せた車は国道からそれて脇道に入った。
「え?Uさん、A市(彼女の住む町)に帰るんですよね。」
「ああ?ちょっと寄り道してくからさ」
「聞いてないですよ。帰ってくださいよ。もう遅いですし。」彼女はもうこれ以上Uと一緒にいたくなかった。
「運転手さん、A市に行ってください」
「・・Uさん、どうします?」運転手はUに聞いたが、Uは「いいよ、最初に言ったとこ、向かって」と言った。
「ちょ、ちょっと、Uさん・・降ろしてください!降ろして、ね、止めてください!」彼女の抵抗は聞き入れられることはなかった。
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