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好きな女子に素直になれずにいたらイケメンな先輩にゴチになりましたと言われた失恋のショック

この記事の所要時間: 739

舞っていう女の子と、中一で同じクラスになって以来、ずっと仲が良かった。

よく見ると顔は可愛いんだけど、飄々としてるっていうか芸人キャラっていうか、そんな感じだから男友達も多いんだけど、あまり異性の対象にはなり難い娘だった。

素材は良いのに、自分を女として着飾ることに照れがあるのかしらんけどそんな感じ。

でも、顔は上戸彩。

 

だから、俺も最初は男友達と同じ感覚だったんだけど、いつの間にか好きになってた。

気付いてからは、やばかった。

舞の一挙一動にイチイチ「こいつってこんな可愛かったんだ。」って思うようになった。

でも既に親友って感じだったから、なんか恋愛対象とすることに凄い罪悪感もあった。

だから、今更告白とか出来んかった。

そんで高校も一緒のとこに行った。

どちらからともなく「当然一緒のとこいくよね?」って空気が俺達の間にあった。

俺が運動部に入ると、「ふ~ん。じゃ、あたしマネしよっかな。一回やってみたかったし」

 

そこで知り合った田島先輩。

自他とも認めるイケメン。

当然モテてた。

舞もよく「田島先輩やばいよね~。」っと俺に言ってきて、その度に嫉妬して

「じゃあ告ってきたら?」って心にもないこと言ってた。

「はぁ?無理無理。あたしなんか相手されないって。」って舞は謙遜してたけど。

正直俺の学年で、顔面偏差値が釣り合いそうなのは舞くらいだったと思う。

高校に入って『女の子』って感じが色濃くなっていった舞は本当に可愛かった。

中学の時はそれほどでも無かった男子の人気が一気に爆発した感じ。

でも、表立ってモテル感じじゃなくて、特に中学が一緒だった男は『舞?・・・まぁ可愛いけど。さ』って感じで素直に認められない感じ。

でも、やっぱりぶっきらぼうな感じは相変わらずで、化粧も殆どみたことないし、眉毛も整える程度。

着飾らないキャラもそのまま。

周りの女子が限界ぎりぎりまでミニスカにしてるなか一人だけ普通に下に短パン履いてたりとか。

へっへっへって笑いながら「あたしのパンツなんて見たくないでしょ?」って言ってた。

「うんこ付いてそうだもんな。」とか言いながら、本当はすごい見たかった。

貯金全部あげてもいいから、正直見たかった。

 

そんなこんなで、田島先輩も卒業したある日。

俺と舞が二年になって、秋くらいだった。

OBを交えて食事会をすることになった。

日曜の真ッ昼間。

 

当然、俺達はアルコール無しだったけど、OBの何人かは飲んでた。

絡まれるのが嫌で、俺と舞はたまたま二人で固まってたんだけど、そこに「よぉ。相変わらず二人とも仲良いな。」と田島先輩がやってきた。

「出来が悪い弟がいると大変ですよ。」と舞。

田島先輩も相変わらず水嶋ヒロそっくりで、大学生になったことで、さらに垢抜けた感じになった。

俺は内心「イケメンあっちいけよ・・・」って感じだったが、田島先輩が舞の隣に腰を下ろしてしまったので、仕方なく3人で話すことになった。

しばらくは部活の話なんかをしてたんだけど、そのうち田島先輩の大学の話になって、やがて田島先輩が一人暮らしをしてるって話になった。

「うわ、羨ましいです。あたしも早くしたいんですよね」

舞は田島先輩の一人暮らしの話に目を輝かせていた。

二人の話は盛り上がって、俺は若干蚊帳の外。

話の内容は段々プライベートなことになっていった。

 

「舞ちゃんが一人暮らししたら俺、毎日遊びに行くわ。」

「マジですか?いや~、でも他の女の子に刺されそうなんで遠慮します。」

「いやいや、俺は舞ちゃん一筋だからさ。」

「はいはい。」

一見軽くあしらっているように見えるが、舞もイケメンには弱いようで結構あっぷあっぷしてた。

「舞ちゃんって彼氏いないの?」

「え~、いた時ないですよ。」

「え?マジで?嘘だ嘘だ。絶対嘘!」

「や、ホントですって。ね?○○?」

いきなり振られた俺は黙って頷いてた。

舞はモテたけど、彼氏は作らなかった。

「部活忙しいし」とか言ってたけど本当の理由は知らない。

多分、理想が高すぎたんだと思う。

そのサバサバしたキャラの割には、恋愛観は結構少女漫画チックなところを時折垣間見せてたからそう思う。

 

田島先輩は「え~、じゃあ俺と付き合おうよ。」とかサラっと言った。

舞は「え?え?え?」と挙動不審。

「冗談冗談。でも今度デートしてよ。」

俺は隣で仏頂面でウーロン茶飲んでた。

舞は困り果てた表情で、「ど、どうしようね○○?や、はは。こ、こりゃ困ったね。はは」と俺に振ってきた。

「何で○○に聞くんさ?やっぱ付き合ってんの?」

「や、や、違います違います。」と顔の前で両手をぶんぶんさせる舞。

その慌てて否定する姿にちょっとショックを受ける。

「いいじゃん、田島先輩とデートなんてお前の人生でラストチャンスだぞ?」

心にもないことを言ってしまう俺。

舞も田島先輩も「ひっどいな~。」と笑っていたが、俺は笑えなかった。

 

その後、俺は仲居さんを手伝う振りしてその場を離脱。

「あ、ちょ、」と焦る舞を問答無用で置き去り。

帰ってくる時にはわざと別のグループのとこに座った。

遠くから談笑してる二人を眺めつつ、そのまま食事会は進んでいった。

お開きになると、傍目もふらずそそくさと帰った。

まだ昼の3時とか4時くらい。

 

そこに舞からメール。

「マジで先輩からドライブ誘われたんだけどどうしよう?」

「俺に聞かれても・・・」

「だよね・・・ごめん。」

それから1時間くらいゴロゴロしてた。

もしかしたら、舞が俺以外の男(しかもイケメン)と二人で遊んでると思うと、とても落ち着いてはいられなかった。

意を決して「ドライブ行った?もし暇なら今からカラオケ行かね?」とメールを送った。

メールは日が落ちても帰ってこなかった。

 

その代わり、田島先輩からメール。

「お前って本当に舞ちゃんと何でもないの?」

散々迷ったが、「はい。」とだけ返信。

夜の8時くらいだった。

 

また先輩からメールが来た。

タイトルにはたった一行。

「ゴチになりました」と書かれていた。

本文は「本当に今まで彼氏居なかったんだな。記念撮影したからやるよ。舞ちゃんには内緒な」と書かれており、

舞がシーツから半分だけ顔を出してピースをしている写メが添付されていた。

俺は意地を張って、「へ~、本当に処女だったんすね。」と半泣き&震える手で返信した。

「その割にはけっこう声出てたけどなw」と先輩から返信。

 

次の日、学校で気まずかった。

舞は先輩のメールを知らないはずなので、俺が一方的に気まずかった。

何てことないよう、何もなかったのように振舞った。

その日の昼休み、舞から「今日は二人で帰るから。約束です。」とメールがきた。

「勝手に約束にすんな。」

「駄目です。約束です。」

そんなやり取りをメールでしつつも、部活も無いので結局は二人で帰った。

ばっくれようとも思ったけど、下駄箱で待ち伏せされてた。

 

帰路でも相変わらず当たり障りのない会話が続いていたけど、俺は意を決して
「そういや昨日どうだった?」と尋ねた。

「ん、何が?」と芝居かかった仕草で誤魔化す舞。

「いやそういうのいいから。」

「あ、ああアレね。はいはいアレね。・・・まーなんていうかね。」

「ちょっとね、アレだね。付き合う感じになっちゃったね。」

「へ~。やっぱ先輩のこと好きだったんだ?」

「いや、まぁ、そりゃいいなって思ってたけど本気とかじゃ。」

俺は「ふ~ん。」って軽く受け流してたんだけど、我慢できなくて

「もしかしてあれか?しちゃったとか?」と聞くと

「ば、ば、馬鹿野郎!」と顔真っ赤にして肩を殴ってきた。

 

でもその後、罰が悪そうに「・・・流されちゃったなぁ。馬鹿だなぁ・・・」

それを認めた舞にショックを受けるも、しょうもないプライドで体裁を気にした俺は、「いいじゃん。責任取ってもらって付き合えば。」と心にもないことを言ってしまった。

舞はそれを聞いて「ん・・・まぁそうだね。」と答えていた。

ただ舞は、そんな自分が恥ずかしかったそうで、頭を掻きながら
「あたしってダメだなぁ・・・」と自虐的に笑っていた。

舞はいつもと違う駅で降りた。

「ちょっと野暮用が」舞はそう言っていた。

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