【レズ小説】消えた女生徒と囚われの女刑事
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翌朝、登校しようとした梨緒の前に1人の女性が現れた。
「失礼、神埼梨緒さんどすな?」
耳障りの良い上品な京都弁で聞かれた梨緒は、無言で思わず頷いた。
「始めまして、県警の御蔵桃華どす」
薄く品の良い桃色のジャケットに身を包み、肌の白い美人と出会った梨緒は、見とれる程桃華を凝視した。
『うわあ…京美人っていうのかしら…』
「昨夜県警になんやデータを送らはってますなあ」
「え?ええ…ごめんなさい。不確実なんですけど…」
「そうどすか…」
「…え~とご存知とは思いますけど…犯罪ですよね?」
「まあその辺はどうとでも…ああ担当の刑事はんには伝えておきましたけど…正直事件性はないと判断されるみたいやわ」
「そうですか…」
梨緒も正直あまり期待はしてなかった。違法で得た情報を信じる組織でない事は判っていたからだ。
「せやけどウチは信じますえ」
「え?」
「こんなかいらしい『可愛らしい』娘の真剣な眼を見たら疑う気は起きまへん」
「…」
梨緒は頬を赤くして絶句した。PCやハッキングといった違法行為を真っ当に見る人が居る筈もなく、今まで気味悪がられる事も少なくなかった。
他の人と同じ様に分け隔て無く接してくれるのは始めてだったからだ。
「まあともあれもう少し具体的な表現がないと…」
「判りました。必ず」
梨緒は力強くそう答えると、愛用PCを機動させ、ディスプレイを桃華に見せた。
その夜、梨緒は1人部屋でPCを捜査し続けていた。
行方不明になった3人の資料を前に、梨緒は全神経を総動員して集中した。
『…やっぱり気になるわ』
利緒はじっとしてられず椅子から立ち上がった。
『3人のイニシャルの船・荷主と同じ名の教師!』
梨緒はもう一度教職員のデータを探った。
『…あれ?夜なのに駐車場に車?』
梨緒はハッキングした学院の駐車場の監視カメラを見直した。確かに2台の職員用の車が停車したままだ。
『22時…怪しいけどどうしよう…桃華さんは港の管理PCを調べに行ってくれてるし…う~ん…』
梨緒は湧き上がる使命感と好奇心が抑えきれなくなっていた。
学院に行けば深夜とはいえ何か掴めるのでは思うと、じっとしてなどいられなかった。
「…うん!」
梨緒は桃華の携帯電話に留守電サービスを頼むと、防寒コートにマフラーを巻き、深夜の街を抜けて女学院に向かった。
『うう、寒いよ~』
寒さに凍えつつ梨緒は身体を丸めたまま学院の裏門までやってきた。
裏門には教員達は気付いていない隙間があり、遅刻した生徒達がその隙間を使って入るのだと、以前噂で聞いていた理緒はその隙間をLEDライトで見つけた。
『そ~と…』コートをズリズリと擦りながら敷地内へ入った梨緒は、前もって調べて置いた監視カメラの位置に気をつけながら校舎へ向かった。
『駐車してるのは…』梨緒はPCを立ち上げ、ナンバーから持ち主を割り出した。
『山野洋子!やっぱり先生なの!?だけどもう1台は…』梨緒が残った別の車を調べようとしたその瞬間…。
-ゴズッ-後頭部に痛みと共に衝撃を感じ、梨緒は冷たい地面にドサッと倒れた。
凄い二人組だこと!(*^o^*)